獣医だからちょっとわかる病気のこと。
そんな私が乳がんになったとき どうやって調べてどうやって知識をつけたか
せっかくだから共有して心配事を減らし、前向きに治療に取り組むぞ!

腫瘍径?浸潤径?治療前後のステージング

検査

エコー検査での腫瘍径(しこりの直径)も聞けないのにステージがきになる私w

と言いつつすべての検査も終わって治療方針も決まったけどw乳がんの診断治療ガイドラインを読んだり、ネットでいろいろ見たりしているうちに”浸潤径”という言葉が出てきた。

そこで浸潤径によって術後の治療方針が変わった などというツイートなどもみつけて

ん?治療は”腫瘍径”とリンパ節や遠隔転移などのステージングから決まるのではなかったか??

と思って混乱~!!

そこで調べてみるとなんだ!

治療前(臨床分類)のステージングと術後のステージング 2つあるではないか!!

ということでまとめてみました。結論から言うと

治療前のステージングは腫瘍径とリンパ節、遠隔転移の有無で決まる

術後のステージングは病理検査による浸潤径、リンパ節、遠隔転移の有無で決まる

浸潤性乳がんと非浸潤性乳がん、転移リスクの考え方を理解する。

では順番にいきましょー

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浸潤している とは

まずもってこの乳がんというものは 浸潤しているかどうかが、今後の再発リスクのすごい大事なポイントだということが分かってきた。

浸潤しているかどうかは、組織生検で大抵わかるので、術前にマンモトーム検査などを行った人は検査結果のお話の時に浸潤性乳がん などと聞いているかもしれない。

そもそも浸潤とは何なのか

乳管を破ってがん細胞が乳管の外へ飛び出すことを浸潤といい、飛び出た部分が、浸潤がんとなります。 浸潤したがん細胞は乳管の外にあるリンパ管や血管の中に入り込むことができるようになるため、浸潤がんの部分が大きくなると転移を起こす率が増えます。 

https://www.nanbu.saiseikai.or.jp/cancer/explain/breast-cancer/

まず、乳管や小葉で増えてきた癌細胞が、乳管の中だけに増えているのが”非浸潤性乳がん”で

乳管の外にまで飛び出るのが”浸潤性乳がん”

乳管の外には血管やリンパ管が来ているので、癌細胞が血管やリンパ管に入ってしまうと、そこから血液やリンパ液に乗って乳房の外へ出ていこうと(転移)するわけですね。

わかりやすい図はこちら がんの治療法HPより

https://www.nanbu.saiseikai.or.jp/cancer/explain/breast-cancer/#:~:text=%E4%B9%B3%E7%AE%A1%E3%82%92%E7%A0%B4%E3%81%A3%E3%81%A6,%E4%BC%B4%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

でも全部が組織生検で分かるわけではなくて、例えばしこりのうち一部が浸潤しているときに、そこに生検の針が刺さらなくて、浸潤していない部分の組織だけしか取れなかった場合などは、術後に浸潤していました、などということもある。正確なのは、しこり全部を取った術後の病理検査。

治療前のステージング(臨床分類)

私たちはまず検査で、乳房内にしこりがあります、と言われるところからこの怒涛の検査と治療の波にさらわれたわけですが 多くの人がまずマンモグラフィやエコー(超音波)で乳がんを疑われました。

エコーで 明確なしこりがない パターンの方もいたかと思いますし

エコーではっきりとしたしこりがあった方もいたかと思います。

治療前でははっきりとしこりがある場合、そのしこりの最大径(一番長いところの長さ)をステージングに使います。

それを 腫瘍径 と言います。

腫瘍径は浸潤しているところも乳管内にあるところも区別せずに(エコーでははっきりと区別することはできないと思いますが)とにかく長いところを測ります。

その腫瘍径が2センチ以下と5センチ以上で区別

そのほかに、エコーなど画像検査上、もしくは触診でリンパ節が大きくなっているかどうか

MRIやCT,PET-CTなども含めて遠隔転移があるかどうかでステージ0~4までに分けます

ステージングの表はよく目にするかと思いますが、わかりやすいのはこれかな?

神奈川乳がん検診NAVIさんのHPより

https://www.miwa-nyugan.com/breastcancer/ より

この表で分かりにくいのがⅢのBとCで どのリンパ節に転移があるかや皮膚の状態で分けます。

ⅢBはしこりが胸壁の内側にしっかりと固定していたり、皮膚にしこりが出たり、皮膚が崩れたり、皮膚がむくんでいる炎症性乳がんです。しこりの大きさや脇の下のリンパ節の有無には関係ありません。

https://www.miwa-nyugan.com/breastcancer/

ⅢCは脇の下のリンパ節と胸骨の内側のリンパ節の両方に転移のあるものや、胸骨の上下にあるリンパ節に転移があります。しこりの大きさには関係ありません。

https://www.miwa-nyugan.com/breastcancer/
わたし
わたし

ちなみに治療前のステージングはTNMでもTNM、cステージと書いてあります。

術後のステージング(術後病理学的分類)

それに対して、術後のステージング

術後はしこりを全部取って、その組織を薄切りにして細かく見るので、乳管から浸潤していないかしっかりみれる。

で、再発や転移など予後にかかわるのはしこり全体のサイズより、乳管を破って出ているところのサイズ つまり”浸潤径”

”浸潤径”がステージング(術後病理学的分類)にかかわってくる。

そしてリンパ節に関しても、センチネルリンパ節生検や腋窩リンパ節郭清でとったリンパ節の、どのリンパ節にいくつ癌細胞がみられたか 細かくわかるので、それをもとに分類していきます。

ここで術後の病理検査の読み方を全部解説すると大変なことになるのでまた別のブログでゆっくり説明させてください。

わたし
わたし

ちなみに術後はTNM分類でもTNM、pステージと書かれています

なぜ、大切なのが腫瘍径ではなくて浸潤径なのか

わたし
わたし

なぜ術後は”浸潤径”のほうが重要視されるのだろう??

デカくても浸潤している部分が小さい乳がんAと、小ぶりだが浸潤径がAよりは大きいBだと、Bのほうが再発リスクが高いということだ。Aのほうが乳がんの癌細胞が多い気がするけど…

この部分でとてもいい質問と分かりやすい説明があった。

お世話になっております、乳がんプラザさんから

質問の一部を抜粋しますと

腫瘍径ではなく、浸潤径でステージや治療方針が決まるのは何故ですか?例えば5㎝の腫瘍があり、1㎝の浸潤が見つかった場合は1㎝の癌となります。でも1㎝の浸潤部分から5㎝分の癌細胞が体内に散らばるのではないのですか?

これに対しての回答がとても勉強になる、長いけど

ここで、「多くの方が誤解」している点について触れておきます。

★「非浸潤癌細胞」と「浸潤癌細胞」は全く別個のものである。

○非浸潤癌を(針生検などの針で、乳管を破ると)「癌細胞が、乳管からこぼれ落ちて、浸潤癌となる」という誤解です。

 この誤解には「浸潤癌と非浸潤癌の癌細胞は共通であり、ただ乳管の中にいるか、外に出たかの違いしかない」という誤った認識が源になっているようです。

 例えれば「水風船の中に水がある(非浸潤癌)」⇒この風船が破れて「水が外にばらまかれるのが浸潤癌」のような誤ったイメージです。

○事実は全く異なります。まず大前提として癌細胞はモノクローナル(1つの細胞が増殖して起こる=全て同一の細胞からなる)であること

 非浸潤癌の癌細胞は、どんどん増殖して、腫瘤①(非浸潤癌の塊)を形成します。

  これは(非浸潤癌の癌細胞が遺伝子変異して)『浸潤能を獲得』しないかぎり「乳管から外へ出る(浸潤)事はできません」

 浸潤癌の癌細胞は、ある日突然、(今まで非浸潤癌として増殖していた細胞の中の一つに突然変異が起こり)『浸潤能を獲得』することで産まれます。

 「非浸潤癌細胞の一つが突然変異をして一つの浸潤癌細胞が生まれる」のです。

 ここからは同様に「その一つの浸潤癌細胞」がモノクローナル増殖して腫瘤②(浸潤癌の塊)を形成するのです。

 つまり、腫瘤①(非浸潤癌の塊)と腫瘤②(浸潤癌の塊)は、全く別個のものなのです(もともと腫瘤①の中の非浸潤癌細胞の一つを起源として変異して生じた浸潤癌細胞で形成された腫瘤②ですが、実際には全く別物なのです)

乳がんプラザHP https://nyuugan.jp/question/syuyoukei-shinjyunkei-2

なるほど!!!

非浸潤癌の細胞がある日進化して乳管を破って出る技をゲットして、新しい浸潤癌の細胞の塊として増えていく。

で、その進化したほうの細胞が血管やリンパ管に入って全身に侵略をしにいくわけですね((+_+))

進化するなよ(# ゚Д゚)

で、回答は続きます。

★術後の「転移、再発の」リスクについての考え方

たとえば、1cmの浸潤癌を含む5cmの癌(4cmが非浸潤癌)を考えてみましょう。

 実際には、これを手術して摘出するわけですが「手術する時点」で問題となるは、現時点で「血管やリンパ管に入り込んでいたリスク」をどう評価するか?です。

 「浸潤癌だけが、その時点で血管やリンパ管に接しており、そこにリスクが生じる」のです。

 つまり4cmの非浸潤癌は全くリスクとしてはカウントされません(それらの非浸潤癌細胞は乳管の中にあり、血管やリンパ管に接していない」のです。

 一方で「1cmの浸潤癌の部分」は「現に血管やリンパ管に接している」のです。

 体積で考えると 1cmの浸潤癌でのリスクが「1」なら2cmの浸潤癌では「8」とな

り、「8倍の体積の癌細胞が血管やリンパ管に曝されている」ことになります。

乳がんプラザHP https://nyuugan.jp/question/syuyoukei-shinjyunkei-2

「転移、再発のリスク」は(手術で摘出する時点)で「どの位の体積の癌細胞が血管やリンパ管に接している=転移再発のリスクとなっていた」の評価なのです。

 ♯非浸潤癌は放っておけば、(非浸潤癌細胞が増殖する過程で)そのうちの一つの細胞が突然変異して「浸潤癌細胞が1つ産まれ」そこから「浸潤癌としてモノクローナル増殖する」リスクをはらんではいますが、「非浸潤癌の時点で摘出してしまえば、no risk」なのです。

乳がんプラザHP https://nyuugan.jp/question/syuyoukei-shinjyunkei-2

なるほどね~ すごく勉強になりました!!

てことは、以前のブログで(結局私ルミナルHer2だし、いつわかっても治療フルコースだしって言ったけど、早く見つかってたら取って終わりだったってことやーーん!

その時の記事はこちら

高密度乳房?いいえしっかり見えました石灰化
マンモグラフィの画像、見せられたところでそれがどうなのかよーわからんまま。ってなんか悔しいし!結果を聞きに行く前に、画像を見れるチャンスの前に、下調べしておーく! 調べたことをみんなに共有

まとめ

治療前のステージングは腫瘍径とリンパ節、遠隔転移の有無で決まる

術後のステージングは病理検査による浸潤径、リンパ節、遠隔転移の有無で決まる

非浸潤癌細胞がある日進化して浸潤できるようになる

・乳管を破られた時から、転移のリスクが始まる

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