獣医だからちょっとわかる病気のこと。
そんな私が乳がんになったとき どうやって調べてどうやって知識をつけたか
せっかくだから共有して心配事を減らし、前向きに治療に取り組むぞ!

ふつふつとわいてくる疑問、私の治療あれでいいの?

診察
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カドサイラ?術前抗がん剤?AC療法は必須なの??

初診の日、はじめましてでいきなりあれよあれよというまに治療法の決まった私。

その日は、オーすごいいろいろ決まったぞ!と思っていたが、ステージングがわからないので調べるうちにいろいろもやもやしてきた。

それもこれも”ルミナルHer2”という治療法満載のサブタイプに加えて、どうやら「再発のリスク」によって治療法が変わるのが乳がん治療。

私は該当しないが例えばルミナルタイプでもAかBかというのがイマイチはっきりしない。

なのに抗がん剤治療をするかどうかがこのサブタイプやらリンパ節への転移の数やらで決まってくる。しかもお医者さんによって微妙に違うから このインターネット時代に調べると、疑問が出てくる~~

この治療法を調べるときに、自分の治療法以外のこともホントわんさか調べた。

それも順次ブログにしていくけど、まぁまず私のことを

まず気になったのが私の場合

前提をお話ししよう

私の今のところ分かっていることは

(多分)ステージ1~2a ←シコリは最大径1.8cm エコーでは脇と鎖骨下のリンパの腫れなし

浸潤性乳がん

サブタイプは ルミナルHER2 (ER、PgR両方とも+ Her2は3+ Ki67は測定してない)

全摘でオッケー 年齢40 遺伝子検査してない 

組織グレード2 

で、

標準治療は

手術 (+放射線療法) 術前or術後抗がん剤(化学療法)+抗Her2療法 +ホルモン療法

ここまでは比較的すぐ調べたら出てきた。フルコースなのよ私

で、まず一つ目の疑問 

疑問①化学療法が術前なのか、術後なのか 

でもこれは、初診の時に一刀両断でお答えいただいた(笑)

その時の様子はこちら

乳腺外科の先生とご対面。末永くよろしくお願いします
乳腺外科の先生との初対面。サクサク決まる乳がんの治療方法、抗がん剤の選択、検査日程。どんどん決まっていったけど本当にいいのか?このあと気持ちがスッキリしたのですが…そのあとにもう一度もやもやすることが?それはまた後日

術前でも術後でも、OS(全生存期間、とにかくどのくらい長生きしたか)とDFS(無病生存期間、治療後に再発やほかの病気がなく生存している期間)有意な差はなかった

乳房の温存率は、術前化学療法で優位に向上。(術前化学療法で温存できる人が増えた、もちろん形が良い状態で温存できる人も増える)

つまりまとめると 術前でも術後でも効果一緒で乳房温存的には術前がいい

上記2点は乳癌診断ガイドライン CQ6手術可能な浸潤性乳がんに対して術前化学療法は推奨されるか? を参照。

K先生曰く「一刻も早く癌を取り去りたい!つけておくと居ても立っても居られない!」という人だけ、手術先行でもいいよ とのことだった。

(そのほかにも、術後病理検査の結果が正確にわからない、というデメリットもあると思うが)

そして決め手となったカドサイラ それが私の場合の治療法のキモだ 

なんと2020年8月21日(最近!!)になって、今まで進行・再発の場合のみだったカドサイラの術後での承認が下りた!

カドサイラがHER2陽性の進行・再発乳がんに加えて、早期乳がんに対する術後薬物療法の適応追加承認を取得

手術前の薬物療法により病理学的完全奏効(pCR)が得られなかったHER2陽性早期乳がんの予後を改善する、手術後の新たな治療選択肢を提供

中外製薬HP https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200821160000_1015.html

まず。術前に抗がん剤を使っていてそれが効いていない(完全奏功を得られていない、つまり癌が消えていない)時だけ使える

術後にトラスツマブ(ハーセプチン)をトラスツマブエムタンシン(ハーセプチンに抗がん剤をプラスしたもの、カドサイラ)にすると再発率を50%減らせるとのこと。

こちらは 乳癌診断ガイドラインFQ16術前化学療法で病理的完全奏効(pCR)を得られなかった場合、術後化学療法の変更を考慮すべきか?

これはもう、術前選ぶしかないよね、治療の選択した増えるわけだから。

まぁ、早く取り去ってしまいたい気持ちはあるけれど、再発率半分は嬉しすぎる。

そこまではいいが今度は、

疑問②抗がん剤の種類はどれか?

で、その次疑問に思ったのが

「ACって言っていたけど、副作用がなぁ一番しんどいんだと思うんだよ ほかのにできないのかなぁ」

というところ。

そこで見つけたのがこのページ

乳癌診断ガイドライン FQ2.術後化学療法でアンスラサイクリンを回避したレジメンは勧められるか?

引用すると

HER2陽性でリンパ節転移陽性および高リスク・リンパ節転移陰性症例を対象とした術後治療に関するBCIRG 006試験の最終解析結果が報告された6)。10年DFSはAC→TH(ドセタキセル+トラスツズマブ)で74.6%,TCH(カルボプラチン+ドセタキセル+トラスツズマブ)で73.0%,AC→T(ドセタキセル)で67.9%,10年OSはAC→THで85.9%,TCHで83.3%,AC→Tで78.7%と,いずれもトラスツズマブ併用で有意に予後の改善を認めた。AC→THとアンスラサイクリン回避レジメンのTCHで非劣性を検証するデザインの試験ではないが,両群間で予後に有意差はなかった。一方,うっ血性心不全はAC→THで2.0%,TCHで0.4%,10%以上のLVEF低下はAC→THで19.2%,TCHで9.4%と心関連の有害事象の頻度はTCHで有意に低かった。

乳癌診断ガイドラインHP

あぁもう読む気がしない というひとは

まぁこの試験はトラスツズマブ(ハーセプチン)を足したほうが、効果があるよっていう別のことを比較するための試験なんだけど

その試験の中でACからTH(ドキソルビシン+シクロフォスファミドからドセタキセル+トラスツズマブ)をやる治療法とTCH(ドセタキセル+シクロフォスファミド+トラスツズマブ、つまりドキソルビシンという副作用の強いアンスラサイクリン系の抗がん剤を使わない方法)で予後は変わらないよっていう。

しかも、心臓に対する副作用は少ないよっていう話。

そしてさらに

また,単アームの第Ⅱ相試験ではあるが,腫瘍径が3 cm以下でリンパ節転移がないHER2陽性症例406例を対象にパクリタキセル+トラスツズマブで術後療法を行った試験で,3年IDFSが98.7%(95%CI 97.6―99.8)と良好な結果が報告されている7)。また,早期HER2陽性症例493例を対象とした,TC(ドセタキセル+シクロホスファミド)+トラスツズマブによる術後療法で,2年DFSが97.8%(95%CI 94.2―99.2)と良好な結果が報告されている8)

乳癌診断ガイドラインHP

で、本当は薬を使った人と使ってない人を比較しなければいけないんだけど、薬を使った人だけをみてみる(単アーム)第二段階の臨床試験ではあるけど

しこりが3センチ以下でリンパ節に転移がないHer2+でパクリタキセル+トラスツズマブ(TH)で3年のIDFS(無浸潤疾患生存期間、浸潤性の病変の再発と判断された日、再発以外の癌が見つかった日、死亡した日のどれかがおきるまでの期間)98.7%

つまり、98.7%のひとは3年たっても癌も見つからず再発せず死んでない ってこと

また、早期(ってどのくらいよ?)Her2+でTC+Hの術後療法で2年DFS(無病生存期間)が97.8%

おぉぉ、それでよくない?

ACはドキソルビシンっていうもっとも副作用がしんどいとされているアンスラサイクリン系をつかうんだけど、それやだからと思ってた。

この診断治療ガイドラインみたらTHとかTC+Hで割といい成績が出ているではありませんか!!

まぁしかし、臨床試験としては正確性が不十分であることと2,3年のデータは出ているけどそれ以上のものは出ていない。なぜなら新しい治療法だから。そこが弱いところだな。

ここを先生に聞いてみよう!

まとめ

術前でも術後でも抗がん剤の効果は変わらない

乳房温存を考えている人は、形がよくなったり温存可能になることもある

Her2陽性の人は、術前に抗がん剤を行い癌が完全に消えなかった場合、術後にカドサイラを使うことで再発率を半分にできる。(2020年8月に承認されたばかり)

臨床試験的にはまだ弱く、年数も少ないのではっきりとは言えないが アンスラサイクリン系の抗がん剤を避けた治療法も検討されている、主治医に聞いてみるべし!

ふぅ どうも調べれば調べるほど だけど 全体を調べて乳がんに詳しくなるより、自分のサブタイプやステージから順番に追っかけて行って治療法や副作用などを知ったほうがよさそうだ。

だから、基礎知識としてはまとめるけど、

このステージ このサブタイプならどーなの??

そこから分けて考え行くことにした!

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